【2022年】換気は必要?CO2濃度監視システムを社内開発!
新型コロナウイルス感染症の影響により、新型コロナウイルス感染症対策を日常生活に取り入れた生活様式が浸透してきました。
コロナ禍では「三密を避ける」は度々のキーワードとなり、「密接」「密集」「密閉」を避ける動きは人々の生活に根付きつつあります。
特に人が集まる密閉空間では「換気」の重要性が話題になることも。
「換気」は、窓を開けたり通気性を良くすることで成り立ちますが、換気すると室内温度も上下するため、暑い日や寒い日では調節が難しいですよね。
必要なタイミングで効率的に換気したいが、空気中のウイルスは目に見えるわけではなく、「換気の目安が分かりにくい」と思っている方も多いと思います。
社内のCO2濃度監視システム「快適空間モニタリング」で換気を促進
デジオン社内は、ビルの構造上、はめ殺し窓のため会議中も窓を開けることはできず、また日々業務に注力する社員の熱気により空気がこもってしまうことも。
そこで、CO2濃度を測定して換気を促すシステム「快適空間モニタリング」を社内で試作してみることにしました。
厚生労働省推奨基準では、集団感染発生リスクの高い状況回避のため良好な換気状態の基準として、CO2濃度1000ppm以下が提示されています。
「快適空間モニタリング」では、CO2濃度1000ppmを超えた場合にアラートをあげるシステムとします。
「快適空間モニタリング」のシステムと機材
「空間快適モニタリング」のシステムは、以下のような構成で開発しました。
システム構成
① センサーでCO2濃度を測定し、データ収集デバイスで収集・クラウドシステムへデータ送信を行います。
今回のクラウドシステムでは、AWS Lambdaでデータ処理を行い、S3に保存します。
②データの表示は、Web UIで行います。
UI上では、会議室ごとにCO2濃度を表示できる画面を用意しました。
③CO2濃度1000ppmを超えた場合は、チャットアプリSlackでメンバーに通知を送るようにします。
Slackで通知されたメッセージのURLをクリックすると、WebUI上のCO2濃度の数値を表示します。
センサー
今回は、2室で測定できるよう、2組のセンサーとデータ収集デバイスを用いて構築します。
データ収集デバイス
完成した「快適空間モニタリング」
こちらが完成した「空間快適モニタリング」。
こちらを会議室に設置します。
会議室ごとのCO2濃度を表示します。
今回は2組制作しましたので、会議室4と会議室5に設置しています。
CO2濃度が1000ppmを超えると、チャットアプリSlackに通知されます。
すぐに換気が必要なことが分かりますね。
時間軸でのCO2濃度も表示。どの時間帯のCO2濃度が高かったかが分かります。
しばらく測定することで時間帯ごとのCO2濃度パターンが分かれば、定期的に換気する時間帯を決めることもできますね。
こちらのシステムを、社内でしばらくテスト運用してみたところ、やはり人数も多く白熱するチームが会議室を利用する場合はCO2濃度も高めに出ていました。
デジオンの設備や人員を管理する部門からは、新型コロナウイルスの対策の一環として、概ね好評でした!
テスト運用で見えた実運用までの課題
以上のシステムを構築しテスト運用したところ、実運用を行うための以下の課題が見えてきました。
- 処理スピードの高速化
今回は、デジオンの既存技術「DiXiM IoT Platform」の一部を流用した形で構築しています。そのため、既存のシステムを応用して、データの格納はAmazon S3(ストレージサービス)で行いました。
テスト運用としては許容範囲の処理速度ではありましたが、実運用では、センサーで収集するデータの特徴に合わせてデータベースを構築し、処理スピードの高速化を行いたいと考えます。
- 機材の入手が困難
昨今の半導体供給不足により、Raspberry Piの入手が困難になっています。
供給が安定した後に台数を増やし、全会議室に設置できるよう増設が必要です。
- 通知するメンバーの設定
今回のテスト運用では、Slackで登録しているメンバー全員に通知を送りました。ですが、実際には時間帯によっては会議室を使っていないメンバーもいるため、通知は会議室を使う(つまり換気ができる)メンバーを特定して通知する必要があると考えます。
また、その場にいるメンバーがすぐに換気できるよう、データ収集デバイスから直接ランプ点滅などのアラートを上げても良いかもしれません。
- 社内開発でどこまで質を向上できるか
社内での研究開発ではよくあることかと思いますが、限られた時間とコストの中での制作になりました。
実運用に向けては、ユーザー視点での使い勝手やデザイン性の部分をより向上させていきたいと考えます。